クチコミを増やして継続的な売上につなげたいなら、企業は何をするべき!?
2016 年11月下旬に、南青山にオープンしたフランスで人気の冷凍食品専門店ピカールが好調のよう。その好調にはネットやSNSでの話題が大きいことも後押ししているようだ。なぜ話題になり女性の心を掴むのだろうか、企業が取るべき対策とその本質を探るヒントが見えてきそうだ。
女性の価値観の変化を見逃さない
以前の冷凍食品に対するイメージは、「あまり美味しくない」という商品そのものへの懐疑感や「冷凍食品となると手抜きのイメージ」という罪悪感もあり、「子供のお弁当に冷凍食品をちょこっと使う程度ならいいかな」といったものが多かっただろう。
しかし近年、共働き世帯の増加や、働く女性が増えたことなどによる生活環境の変化やライフコースの多様化による、時短を求める女性の声が増えてきたこと、冷凍食品は美味しくなったという市場認知が進んだことなどから、近年、女性が持つ(もちろん、世代別などによる違いもあるが)冷凍食品に抱くイメージが変化してきている。このことが、女性の冷凍食品を食卓に出すということに対するなんとなく感じる心理的抵抗感を下げ、冷凍食品も食材•お惣菜の一つとしての選択肢になるという価値基準に変化してきている。
このような女性を取り巻く環境要因の変化による、女性の消費購買に影響を及ぼす価値基準の変化は、冷凍食品業界だけでなく、子育て支援や家事代行サービス業界にも言えることだろう。
現代女性に寄り添うコンセプトの重要性
では、女性は時短•美味しいだけで冷凍食品を購入するのだろうか?もちろんそういった理由も存在するのだろうけれど、企業としては消費者の心を掴む一歩進んだ差別化戦略を考えたい。上手く差別化が形成されると他社との価格競争に陥りにくくなるからだ。
ピカールの場合は”がんばりすぎずに素敵に生活する「エフォートレス」なくらし”をコンセプトにし、簡単だけど素敵に食卓を演出できるお手伝いを消費者に向けて提案している。
そのようなコンセプトを全面に押し出している冷凍食品は今までになく、新しい。企業の明確な差別化として、レッドオーシャンのなかのブルーオーシャンのポジショニングを築いていけるのだ。
‘目で見て楽しめる’は女性の購買感情にタッチする
ピカールの提案している冷凍商品は、まず目で見て楽しめる。「美味しそう」と感じさせるだけでなく、「美味しそう」に「素敵と思えるワクワク感」を同時に提供している。たくさんある冷凍食品の中で、この二つを同時に提供している商品は目新しい。ここでいう「素敵と思えるワクワク感」とは、食卓に並べた時のことを連想させるもの。
女性はお腹を満たすことだけを目的に商品を購入しない。今、自分が思っている(最近気になっていること)ことが満たされるかどうか?満たされそうか?という心の満足を同時に考えている。
例えば、ピカールのケースだと、「この食材を食卓に並べたらどうかな?子供達は喜ぶかな、パパはどうかな」「オシャレなパーティができそう」「SNSに載せられそう」などが考えられるだろう。コレを食べてみたいという気持ちに加えて、少し先の未来の自分が得たいコトをイメージしながら、購買の意思決定を行うのが女性購買の特徴といえる。
‘目で見て楽しめる’は女性のクチコミになりやすいが,,,それだけではNG
目で見て楽しめるは、女性のクチコミになりやすいが、大事なことはその商品を実際に利用してみた時に抱く商品に対する感情だ。見た目はいいのだけれど、実際に商品を利用してみて「ん?!何これ?」というものも少なくない。ネガティブに感じるギャップは、お客離れ•消費者離れを招く。
クチコミを増やして継続的な売上に繋げていくなら、商品そのものに価値が生まれる商品•サービスを提供していくことだろう。工夫改善を加えながら。
価値観の変化を読み取り、商品を手にしてもらいたい顧客層に寄り添うコンセプト。目で見て伝わる楽しさへの工夫に、利用者がこの商品を手にして良かったと思う機能的価値と意味的価値を創造していくことだろう。