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最先端フィルム技術が価値ある農業イノベーションな理由

透明なフィルムの上で野菜が育つ。土と大量の水が無くても…野菜が育てられる… 土と水の役割を果たすフィルムだそうだ。
そのフィルムの上でトマト、パプリカ、メロンやレタスなどの葉物が収穫できるという。
このフィルムを開発したのはメビオール株式会社。アイメック( 通称:フィルム農法 )と呼ばれ、従来の問題点を解決した新しい農業技術。フィルム農法によって生産された野菜は栄養価が高いばかりでなく大変美味しいという。
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高栄養価と美味しさを実現できるフィルム農法

フィルム農法で栽培されたトマトの栄養価は市販のフルーツトマトと比べ、グルタミン酸、ギャバ、リコピン、プロリンなど、どれもその値が高い。また、市販のフルーツトマトは糖度を高めるために肥料濃度を極端に高くするため‘えぐみ’が強いという欠点があるが、フィルムトマトでは肥料濃度が低く、スッキリとした甘さに仕上がる。消費者が欲しいと思う、食してみたいと思う、高栄養価と美味しさの二大要素を実現できたことが、フィルム農法の大きなメリットの一つになっている。
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難しい「土づくり」「水やり」が不要な安全で高栄養価の作物を生産する技術イノベーション

安全で且つ栄養価の高い作物を育む仕組みは、作物の根が張るフィルムにある。フィルムには無数のナノサイズの微孔が開けられていて、フィルム下の養液中の栄養素と水分はフィルム中に取り込まれるものの、サイズが大きな菌類やウイルスはフィルム中には入れないために、農薬を使わなくても作物は病気にかからない。また、養液が腐っても使用できるために、養液のロスがゼロになる。もう一つの特徴は、フィルムの素材はハイドロゲルという性質を持っていて、フィルム下の養液はフィルム中に吸い込むものの、作物側には養液を放出しない。そこで作物は膨大な量の根毛を発生させ、フィルム表面に密着させフィルム中の水分と栄養素を効率よく吸い取るのだそうだ。根毛の表面積は通常の栽培で発生する根の面積のおよそ1万倍にもなる。その結果として栄養価が大きく向上する。
水耕栽培では根が養液中に浸漬されていて、養液が腐ると作物は致命的な打撃を受ける。養液が腐らないように、循環、殺菌、交換が必要である。初期投資と経常投資額が大きいと同時に水のロスが莫大になる。また、根は常に酸素を必要としていて養液中に酸素バブルを混入する必要がある。フィルム栽培ではフィルムが菌、ウイルスを遮断するため養液の循環、殺菌、交換の必要がない、という。また、根は酸素を直接、大気中から摂取するため酸素の混入も不要だ。水耕栽培では根毛の発生がなく、フィルム栽培と比べて栄養価と美味しさが著しく劣る。

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美味しく、高栄養価のトマトを安定的に生産する農業の国内普及

フィルム農法は普及をはじめてから数年で150ヶ所の農場、中でもトマト生産量は年間3,000トンの規模に拡大中。生産者の60%が製造業などの非農家さんで、農業普及の課題解決と消費者の潜在ニーズが結びついた事業に成長している。フィルム農法により異業種、未経験者、若者らの農業への進出が期待される。

社会貢献事業としての不毛地の再生事例

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いくつになってもチャレンジできる、そのために考えてやるべきこと

メビオール社は創業してから今年で21年目になる。研究開発に費やした日々は長い。創業してから18年間はずっと赤字だったという。それでもやり続けてきた。森社長は、夢を持ち続けることは起業家にとって、とても大事だという。その想いに賛同して支援してくれる人達が集まってくれたおかげで、フィルム農法が世にでる形になった。
森社長が起業したのは50代になってから。夢さえあれば、いくつになっても、チャレンジできる。そのためには何を考え、事業にどう取り組むべきかを教えてくれる先生が‘夢’とも言えるのだそうだ。
森社長の夢とは、社会的価値、経済的価値のあるものを自身の事業を通して達成していくこと。「フィルム農法によって不毛地(汚染土壌、渇水地帯、砂漠など)を農地に再生でき、農業が普及すれば、テロ、難民などと言った深刻な社会問題の解決に繋がるものと考えています。また、安全、高栄養、低コストのフィルム野菜が普及することによって、生活習慣病などを予防し、高齢化に伴う医療費高騰の抑制にもなります。」

森社長の起業・創業に対する想いは、「現在はマジョリティーが、未来はマイノリティーが創る」。

「農業という、人類にとって最も重要な産業であるにも関わらず、技術進歩が大幅に遅れている分野に、工業の最先端技術を導入することによって、地球温暖化による土壌劣化、渇水、人口の急騰などに起因する食料問題の解決を日本から世界に向けて、目指したい」と森社長は言う。
 
フィルム農法に関する特許は134ヶ国に出願されていて現在116ヶ国で登録されている。これらの知財を活用しOEM生産、ロイヤリティー事業を世界に展開中である。

 

 
 

 

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